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過去の亡霊

 長いこと我々は、「ファンの集うイベントこそ、ファンの交流する機会」と いう理念のもとに、イベントに集うルーミックファン及び声優ファンの交流を 企画して参りました。日本中の全てのイベント常連が相互交流できるようにな るまでには長い年月を必要としましたが、その目的は完全に達成できました。 そのネットワークは《ルーミックネットワーク》と呼ばれていました。そして、 その最頂点が91年の武道館イベントでした。
 …だが、時間が掛かりすぎました。「うる星」「めぞん」の時代のファンに とって武道館はちょうどよい区切りであったのでしょうか、長年行動を共にし てくれた数多くのファンが現役から引退しました(幸いにも彼らとの交友は続 いています)。彼らは就職や結婚というものを迎えるにあたり、ファンとして の引き際を探していたのです。去り行く彼らに私は「ルーミックのイベントは 声優ファンではなくルーミックファンのものであるべきだ。残された若いファ ンが何とか自力でイベントの秩序を維持できるようになるまで、ここにいるよ」 と約束したのです。
 しかし、御存知のようにイベント自体が少なくなっていきました。イベント に行かなくても誰もが作品を視聴できる時代になり、イベント自体も作品イベ ントから声優イベントへと変質してきました。十年前のように普通の作品ファ ン(具体的にはサークルなどに所属せず単独で活動しているファン)が交流す る唯一の機会であった時代とは異なり、イベントが普通のファンの主たる交流 の場たり得ない時代になっているのです。現在では、例えばパソコン通信など のようにいくらでも機会がありましょう。
 時は流れて結局、私は引き際を見付けることはできませんでした。本来なら、 語り継がれるルーミック史の中だけの存在になっているつもりだったのに…。 その思いは、95年1月のイベントで四百本のサイリュームと共に配布された チラシにも込められています。それが時代錯誤であると分かっていても私は、 仲間うちだけではなくイベント会場に集う全てのファンとの交流を真に望み、 それだけの情熱と実力を持った若いファンの挑戦を待っています(その旗がル ミネットである必要はないだろう)。その挑戦者たちに敗れる日まで、私は過 去の亡霊となって、生き恥を晒し続けるつもりです。
 なお、私は未だにルーミックイベントが大好きです。

 95年1月のKACイベントでは『うる星の大予言』『Looks』といっ たところが新興してきました(声優FCは除きます)。彼らのうちの有志が去 る9月24日に大山産文ホールに於いてファンの集いを開催し、60人ほどの ファンが集まって盛り上がりました。初めてにしては上々と言えるでしょう。 ルミネットの名も知らぬ若いファンが過半数を占めていました。本当に喜ばし いことです。