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伝統的な日本妖怪

 多くの現代日本人にとって、「鬼」のイメージは、角を生やし、虎のパンツをはき、金棒を持った、赤肌か青肌の大男の姿であろう。もちろん、『うる星』ファンにとっては別のイメージがあるに違いない。
 ところが、『犬夜叉』においては「鬼らしい鬼」がいまだに出てきていない。私が寡聞にして知らないだけかもしれないが、「鬼らしい鬼」に限らず伝統的な日本妖怪の姿はあまり見られない。オリジナルの妖怪ばかりのようだ。
 高橋留美子先生はかって民俗学を専攻していたという。その専門家が理由も無くそのようなことをするわけはない。もしかしたら、『犬夜叉』の舞台である戦国の関東地方には、「鬼らしい鬼」は存在せず、作品中に登場するような妖怪の伝承があるのかも知れない。ひまがあれば調査してみよう。
 余談だが、犬夜叉と類似点を持つ妖怪としては「ライカンスロープ」が挙げられる。いわゆるオオカミ男の類と思えばよい。普段は人間だが、月の満ち欠けに応じて変身するところが似ているように思う。通常の武器では傷つかず、銀や魔法の武器でしかダメージを受けない。受けたダメージもすぐに回復していく。もちろん、異なる点も少なからずあるが、全体のモチーフとしては十分に似ていると言えるだろう。高橋留美子先生は平井和正のファンであるので、平井和正氏の著作物の影響もあるのだろうと思う。