交流の育成 20000511

WWW活動におけるハンドルを通じた交流は同人誌活動などにおけるペンネームを通じた交流と類似した性質を持っている。端的に言えば「仲間」は作りやすいが「友人」にまでは発展しにくいのだ。結果的に、交流が表面的なものに限定されやすく交流断絶リスクが高くなる。

さらに、WWW活動は同人誌活動と比較して、出会いの可能性が高く、比較的急速に仲が進展し得るが、トラブルもまた急速に進展し得る。トラブル対応の経験値を積んでいない者にとっては、その高い交流密度の中で適切な対応をなすことは至難の技であろう

ここで「ファンの交流の発展」と「その過程におけるトラブル」とを天秤にかけてみよう。

前者のメリットを重視する場合。構図としては「ハイリスクハイリターン」であり「リターンを得るために、いかにしてリスクを減らせるか?」がテーマとなる。WWWが普及していなかった時期のファン同士の交流がどれだけ大変だったかを経験的に知っていればなおさらだ。

一方、後者のリスクを重視する場合。構図としては「ローリスクローリターン」であり「リスクを増やすことなく、いかにしてリターンを増やせるか?」といったところだろうか。「男女比率の変動」「子供のWWWへの参入」「プライバシー保護」などの要因が重視される。

このように方針は大きく2つに分かれる。どちらの意見も長所短所を併せ持っているのは言うまでも無いし、実際には中間的な意見も多いことだろう。ちなみに、私は前者の意見にかなり近い立場である。

私は『ルーミック愛好者論』の著者として「ファン活動において得た友人関係というものは、当人たちだけでなくファン全体にとってもメリットの多いことである」という立場から、WWW活動におけるオフライン交流を積極的に推奨し、仲間関係を友人関係に発展させていくことを強く提唱している。そして、その発展プロセスにおけるリスクの予測&回避について、今までに数多く言及してきた。

オフライン交流に携わるファンは今後も増えていくだろう。その為にもオピニオンリーダーとなれる人材の育成は急務である。WWW上において私にできることの一つは、オフライン交流について問題や悩みを抱えているファンたちに対して、自分のサイトの文書などを紹介することだ。それらは交流の指針を決める上でいくらか役に立つことだろう。