立ち食いのプロである「ケツネコロッケのお銀」と、その師匠である「ケツネタヌキの竜」。前々から妙な通り名だと思っていた。
さて、話を簡単にするために世の中を関東と関西とに大別しよう。関東において、キツネとは「稲荷揚げをのせること」を言い、タヌキとは「天カスをのせること」を言う。そして関西において、キツネとは「稲荷揚げをのせたうどん」を言い、タヌキとは「稲荷揚げをのせたそば」を言う。ちなみに、ケツネとはキツネを意味する語句であり、主に関西で用いられている方言らしい。
「ケツネタヌキ」を関東風に解釈するならば「稲荷揚げと天カスがのったもの」になるが、関西風にはうまく解釈できない。まさか、そばとうどんとを渾然一体にしたものだとは思えない。次に「ケツネコロッケ」について考えよう。コロッケそばあるいはコロッケうどんは主に関東で見られるものらしい。私の経験でも関西には少ないようだ。こう考えると、彼らのネーミングは関東風のものであるようだ。そして、「キツネ」ではなく「ケツネ」であるところに妙な違和感を私は覚えてたのだ。
で、調べてみた。すると、「ケツネは関西の方言である」と思い込んでいたのは間違いだったとわかる。「ケツネ」は「キツネ」の古語であり、語源は「ケ(食)ツ(の)ネ(根元)」であるらしい。また、食物の神である三饌津神(ミケツカミ)を三狐神(ミケツカミ)とも記したことも関係あるようだ。
ちょっと、すっきりした。