なりチャの中毒性を考察

この2日間で、なりきりチャット用のCGIを自作しました。しばしば「なりチャには中毒性がある」と聞きます。そこで、それが具体的にどういうことなのか考えてみました。

なりきりチャット(Play by Chat)とは、チャットシステムを用いた二次創作です。プレイヤーは特定の世界観の中で登場キャラクターの役割を演じます。あらかじめシナリオが用意されている場合や展開を監督するマスターがいる場合もありますが、基本的にはアドリブをもってストーリーを共同創作するものです。

なりチャにおける発言は、担当キャラクターの台詞だけでなくその心理や行動や設定なども併せて描写されることが多いです。その描写は、ロル(RolePlayが転用した語句)とも呼ばれ、台詞の後に括弧付きで付記されるのが一般的です。

単なる模倣を愉しむ場合もありますが、なりチャではもっと高度な交流技術を愉しむこともできます。台詞とロルを用いて互いに他のプレイヤーの次の言動を誘導あるいは推測しながら、自分の次の言動をリアルタイムに準備するのです。思惑が一致した展開が実現したときには「以心伝心」の一体感が得られます。そのため、なりチャはかなりの中毒性を持ちえます。

ちなみに、性愛の描写を伴うものは『やりチャ』とも呼ばれます。

ふと、この中毒性は何かに似ていると気づきました。『手本引き』の心理戦によく似ているのです。いずれも、周囲で見ている人には「どこが面白いのか?」すら理解しにくいです。金銭が賭けられるスリルは『手本引き』の方が上ですが、妄想を伴う満足感は『なりチャ』の方が上だと思います。そう考えると、ようやく『なりチャ』中毒について納得できました。

ARAI Satoshi ( arai@luminet.jp )