少女「セル画って何ですか?
」
新井「へっ?」
セル画とはアニメーションを作成する際の各コマを表現するための画です。キャラクターなどを透明なシートに描きこみ、それらを背景画の上に乗せて撮影するのです。『めぞん』の頃は十分な予算があったので1話あたり4000枚ほどが使用されていたのですが、『らんま』などではもっと少ない枚数となっています。もっとも、止め絵による演出が発達したのもこの影響なのですが…。
セル画についてもう少し詳しく説明しよう。
まず、シーンやカットの内容を表す「絵コンテ」があります。絵コンテを基に「レイアウト用紙」におおよその構図を書き込みます。それらを基にして「原画」が描かれます。原画は描くカットの最初と終わりの状態を紙に下書きしたものです。動きが複雑な場合などには中間の状態も原画として描かれます。原画には赤色で色番号指定や注意事項などが書き込まれることもあります。この原画を補間して「動画」も描かれます。動かない部分は動画では省略されることもあります。
原画及び動画は同じ用紙を使用して描かれてます。ちなみに通し番号が○で囲まれているものが原画です。これらを動きの流れに並べます。ぱらぱらマンガの巨大なものを思い浮かべればいいでしょう。それらをトレースして透明なセルシートに輪郭線画を書きます(原画や動画に特徴的なタップ穴があいているのはこの用途の為です)。これはほとんど機械が行いますが、『うる星』時代には手書きのものも少なくありません。トレス線のかすれ方などで判別は可能です。トレースされたセルに着色が行われます。セル画の裏面から着色するので表側から見ると非常に滑らかな質感になります。これもCGによるものが主流になりつつあります。
一方、「背景画」は別に発注されてます。画用紙にポスターカラーなどで風景が描かれているものを想像すればおおよそ当たっているでしょう。そして、背景画やセル画を組み合わせてカットを撮影します。現在では特殊効果や動きなどはCGで行っているものが多いのですが、昔はさまざまな手法がとられてました。
セル画はファンにとって入手が困難であるので、驚くべき原価率の市場価格がまかり通っています。その為に、アニメーターの中には贋物を作成したり横流ししたりする者も少なからずおりました。また、現在まで保存されている旧作品のセルはその絶対量が少ないので稀少アイテムとなっています。更に、一つのカットにつき背景画は1枚しか存在しないので背景画付きのセル画は珍重されてます。
その珍重さから、アニメスタジオからセル画を盗み出す者もいたくらいです。撮影前のセル画が盗まれて、『うる星』のあるオープニングが放映できなかったこともありました。困ったものです。
うる星FC/KACでのセル画のランク分けは、S、A,B、C、Dのようになっており、それらの中で更に、◎、○、無印、△などに分類されていました。現在はどうなっているかは分かりませんが…。おおよその目安としては、Sは少し詳しいファンなら直ぐに思い浮かべることができる名場面など、Aは顔のアップで陰影のあるもの、Bは半身以上、といったところでしょうか。