現在『犬夜叉』は、週刊少年サンデーに連載中であり、単行本は第13巻までが出版されている。この段階で『犬夜叉』のストーリーを解析するに、それは四魂の玉をメインシナリオとするものであり、様々な要素がそれに絡んでいる構成となっている。今回は、それらの一つである天生牙(第13巻〜)に注目してみた。その描写量から推定するに、天生牙は『犬夜叉』という作品のキーアイテムの一つであると推察できる。そこで、天生牙が『犬夜叉』という作品の中でどのような存在意義を持つかを考察し、今後の展開でどのようにメインシナリオに絡んでくるのかの予想を立ててみた。
なぜ「天生牙」が存在しているのか?。天生牙の製作者である刀々斎によれば、天生牙は癒しの刀であり、使いこなせれば生き返らせることも可能だという。この機能が『犬夜叉』という作品に必要であるならば、その存在意義は治癒ではなく蘇生に、しかもメインキャラクターに対する蘇生にあろうと思われる。さもなければキーアイテムとしての存在意義が無くなってしまうからだ。私個人の考えでは、かごめ、犬夜叉、桔梗のいずれかが対象となるだろう。つまり私は、どんな状況かまでは分からないが彼らのいずれかがシナリオ中で死亡し蘇生されるものだと考えているのだ。そして、殺生丸が天生牙を使うにせよ、誰かが天生牙を殺生丸から奪って使用するにせよ、殺生丸の性格あるいは存在そのものが障害となるだろうとも考えている。
まず、対象が桔梗である場合はあまりなさそうだ。むしろ、桔梗を倒す為に使用されるというならば、可能性はまだあるかも知れない。生者を癒す機能が死者を害する機能を併せ持つのは、ファンタジー風RPGでもお馴染みのことだ。
次に、犬夜叉を蘇生する場合も少なさそうだ。その為には天生牙の使用者は恐らく殺生丸でなければならないだろう。ところが、犬夜叉が死亡した場合に殺生丸を説得又は成敗する能力のある者はどうもいないようだ。殺生丸は四魂の玉には興味が無さそうなので(この理由も考えると興味深いが…)、四魂の玉を取引材料に使えるとも思えない。まぁ、鉄砕牙なら十分に取引材料に使用できるだろうので、こちらの可能性は無いわけでもない。
私がもっとも可能性が高いと考えているのは、かごめを蘇生する場合だ。かごめが死亡する場合には、それは事故などではなく誰か(恐らく犬夜叉)を助ける為に誰か(恐らく奈落か桔梗)に殺される形式となるだろう。そして、犬夜叉は殺生丸(の性格又は存在)という障害を乗り越えてかごめを蘇生することになるだろう。この展開では、キャラクターの動機付けは強くなり、読者を盛り上げることができ、何よりもキーアイテムとしての天生牙及びその所有者である殺生丸の存在理由を飛躍的に高めるのだ。