著作権侵害について 20000221

まえがき

小学館が提示した「画像使用・著作権について」の見解が、インターネットを用いて活動しているファンたちの間で話題となっている。この見解は「どのような場合に権利侵害となっているとみなすのか」を小学館が明示した点で評価できるものである。この見解において小学館は、権利侵害に対しては提訴も有り得ることを明示している。

ところで、この見解はファンたちを誤解させやすい表現となっているようだ。私の記憶が確かならば、権利侵害のうち著作権法などで特に認められている場合(例えば研究や報道の為の引用など)においては、その使用(権利侵害)は問題とならない。このことが全く記されていないのだ。もちろん、著作権者側がわざわざ書く必要などないことではあるし、その具体的なラインを明示することも困難なことではある。学会においても様々な学説があるのが現状だ。

「著作物使用における法的根拠の有無」と「通告や提訴の有無」により4つのケースが考えられる。

法的根拠のある著作権侵害に対する 通告や提訴がない場合

例え話になるが、道路において「法定速度を守ること」は重要だ。しかし、消防車が規定に則って移動するなど法的根拠がある場合は、法定速度を超えても問題とはならない。もちろん、警察はそんなことまであえて看板に書くことなどしていない。ただ、それだけのことだ。

法的根拠のある著作権侵害に対する 通告や提訴がある場合

著作権法などで使用が認められている場合に対しても小学館が「それは権利侵害だから止めて欲しい」と儀礼的に通知してくることは有り得ないことではない。その場合は単に「〜の規定に基づいて使用している」と回答しなければなりません。その為にファンたちは、著作権法がどのような場合にどのような条件で著作物使用を認めているのかを把握しておくべきでしょう。もし把握していなければ、不必要にファン活動を自粛してしまうかもしれないですからね。

法的根拠のない著作権侵害に対する 通告や提訴がある場合

これを防ぐ為にもファンたちは、どのような場合にどのような条件で著作物使用が認められているのかを理解しておくべきでしょう。さもなければ、法的根拠のない状態で著作物使用をしてしまうかも知れません。ファン側の敗訴は司法における前例をつくってしまい、著作物使用の法的ラインをより狭めてしまうことはファンにとって残念なことになる。

法的根拠のない著作権侵害に対する 通告や提訴がない場合

著作権法違反は基本的に親告罪だから、著作権法の規定で許されている使用でなくとも、許可又は黙認されてる限りは問題にならない。実際に、ファンのサイト程度では、提訴するメリットなどほとんどない。せいぜい見せしめの為に少数を提訴するぐらいだろう。推察するに、著作者側は見解を示した上で黙認している状態を続けるのがもっとも得になるようだ。もし提訴が発生するとしても、それは著作権者側が確実に勝訴できそうな場合から始まるに違いあるまい。あくまで推察だが、それはエロパロなどの猥褻性が強い場合や盗作性が高い場合や著作権者らの経済的利益に反する場合などだろう。実際にファン達のサイトが提訴される可能性は低いと思われる。

あとがき

なお、私はこの文書でファンたちのサイトの全てが著作権法で許された場合に相当しているとは言ってないこと及び法的根拠のない権利侵害を推奨しているわけでも容認しているわけでもないことを強調しておく。