さて、意思伝達システムにおける交流量は、情報がどれだけ書きこまれたかではなく、意味のある情報がどれだけ読まれたか、で表現されるべきだ。
この観点でMLにおける諸問題を眺めてみよう。
現在のMLでは、テキスト形式以外で投稿することや、ファイルを添付することや、機種依存文字を使用すること、などが禁止されている。場合によっては、件名に全角半角を混在させることも禁止されることがあるし、サイズも制限されることがある。これらは、ML配信メンバが配信内容を確実に閲覧できるよう最大公約数的な決まりごとである。
これらのルールに違反した投稿がなされた場合には、メールの肥大化と閲覧不能者の存在により、有効情報伝達率は低下する。
「荒らし」は、MLの趣旨に反する投稿により、MLの機能を一時的に大きく損なうものである。
「荒らし」投稿がなされた場合には、伝達なされるべき情報が存在しないことにより、有効情報伝達率は低下する。
「私信」は、MLメンバ全員でなく、そのごく一部に対して行われるものである。内容的にMLテーマに関連するものであっても、それが特定個人宛ての発言であれば、やはりそれも私信に含まれる。その場合、宛先以外のメンバがリプライを控えてしまうことがある。
投稿に「私信」が含まれている場合には、宛先外のMLメンバにも配信されることにより、有効情報伝達率は低下する。また、宛先以外のメンバがリプライを控えることにより、有効情報伝達量の増大は妨げられる。
「脱線」は、MLテーマから大幅にかけ離れてしまった内容の投稿を行うことである。もちろん、MLメンバの多くは既にその話題には興味を持っていない。
投稿に「脱線」が含まれている場合には、興味を持たないMLメンバにも配信されることにより、有効情報伝達率は低下する。
「独り言」は、MLテーマに関係あるものの自己満足的投稿であり、配信される閲覧者に意味有る情報をもたらすものではない。
投稿に「独り言」が含まれている場合には、有効情報伝達率は低下する。
「引用過多」は、不必要に引用を行うことにより、メールの肥大化をもたらすものである。多くの場合、長い引用と短い意見という形式になることが多い。
投稿に「引用過多」が含まれている場合には、メールの肥大化により、有効情報伝達率は低下する。
ルール違反したメンバに対して注意がML上でなされることがある。これは、他のメンバにも向けた一般的な注意である場合はともかく、注意の仕方によっては私信に分類され得るものとなる。
そのような注意がなされた場合も、有効情報伝達率は低下する。
「Down loadOnly Member」は、配信されたメールを読まないMLメンバを言う。したがって、彼らがMLにリプライすることはない。一般に、MLのテーマに関係ある意味有る投稿の比率が減少すると(注意メールでさえ現象に寄与している)、DOMの比率が増えるようだ。
配信されたメール(その中には意味有る投稿も含まれている)を読まないのだから当然に、有効情報伝達率は低下する。それどころか、DOMのML配信停止やML脱退の可能性を増やし、これは将来的な有効情報伝達量の増大に反するものだ。