「昔はしっかりとした作品作りがなされていた」は耳にタコができるほど聞かされてきました。もちろん、現在でも商売に耐えうる昔の作品は良作ばかりに限られるので、その良作ばかりを見た若い世代が「昔の作品は良いものばかりだ」という錯覚を起こすこともあるでしょう。それを考慮にいれてもなお実際に、昔の作品の方が全体的なクオリティが高かったと言えます。
そこで、アニメのビジネスモデル(儲ける為の仕組み)の変遷を簡単にまとめてみました。
ビジネスモデルがどのように変わったかをひとことで表すならば「CM収入を資金としたビジネスからグッズ収入を期待するビジネスに変化した」となります。その要因として、ビデオやDVDの普及、嗜好の多様化、流通の効率化、年少者の経済力の向上、CG技術の向上などがあげられます。そして、その結果として、高い視聴率帯からのシフトアウト、製作費用の低減、キャラ偏重の演出、マルチメディア展開、などがあげられます。
金を稼ぐために良い作品を作るのがベストなら企業は当然にそうしてたはずです。しかし、現状はそうではありません。「昔は良かった」ではなく「昔はこうだった」と解釈すべきものなのです。それに、キャラクター重視という点では、昔の作品よりも今の作品の方がずっと優れてますよ。
キャラ偏重の作品は長期的には再利用に向いていません。数十年後の日本では「昭和時代の作品は再利用されてるが、平成時代の作品は消えてしまっている」かも知れません。