サークル運営論2は、これからサークルを運営しようとしているルーミック愛好者、及び現在サークルを運営しているルーミック愛好者に向けて書かれたものである。しかしながら、その内容は運営者のみならずサークルに所属しているルーミック愛好者にとっても有用な示唆を与えるものである。
ここで、「ルーミック愛好集団」をルーミック愛好者だけを構成員とする集団と定義し、「サークル」をルーミック愛好集団のうちその構成員の大多数がその集団に対する一時的でない所属関係を認識しているものと定義する。一般にいわゆるサークルのほとんどが、ここにいわゆるサークルに含まれている。
なお、外敵の利用方法、乗っ取りに対する防衛、嫌な構成員の排除方法、他のサークルの潰し方などは、他人に教えるべき内容ではないので割愛しました。
サークルを設立しようと考えている者は、サークルを設立する前に、サークル設立者を募集することができる。この募集は必ずしも行わなければならないものではないが、自分自身が多くの労務を行う余裕がない場合などには有効な方策である。
設立者募集のメリットとして、やる気を持っている人物が来るかも知れないこと、サークル設立又は運営に関して自分にない能力を持った人が来るかも知れないこと、及び、役割分担を行うことができるかも知れないことなどがあげられる。設立者の募集は、まず気心の知れた仲間に声を掛ける方法を採用すべきである。なぜならば、サークル設立者はそのままサークル運営者になる可能性が非常に高く、サークル運営者は互いに気心が知れている方が望ましいからである。
設立者募集のデメリットとして、将来的な内部対立を発生させる要因になりやすいことがあげられる。サークル設立者は、設立者間の内部対立及び内部分裂を防ぐ為に互いの想定しているサークルの具体的内容を予め話し合っておくべきであろう。もし意見の一致を見い出すことができなかった場合には、一緒にサークルを設立するよりも、別々のサークルを設立した方がまだ賢明であるかも知れないのである。
サークル設立者は最初にサークルの目的を定めるべきである(もし可能ならば明文化すべきである)。なぜならば、目的はサークルが活動する上での指針となるからである。また、サークル運営に於けるトラブルを解決する上での指針にもなるからである。
サークルの目的はその構成員がサークルに期待する目的の綜和でもあるので、ルーミック愛好者によるサークルに於いては、当然として構成員であるルーミック愛好者の愛好対象がサークル活動の目的となり得る。理論的には、サークルの目的はそのサークルが明文化している目的に関わらず、構成員がルーミックの全部又は一部を同好の士と共に愛好すること、構成員がルーミックに関する物品や情報を交換又は獲得すること、構成員がルーミックを通じて人脈を拡大すること、構成員がルーミックを愛好する為の活動(サークル運営を含む)に参加し又は居場所を確保すること、及び、構成員がルーミック愛好者の集団の中で相当な地位を獲得すること、の一部又は全部となる。このことは経験則に反していない。
もしサークルの目的が構成員の愛好対象からあまり掛け離れているならば、その目的は単なる名目になるどころか、サークルにとって有害なものとなるであろう。例えば、サークル運営者が、高橋留美子作品を愛好することを名目上の目的とし、サークル活動に参加した女の子をナンパすることを事実上の目的としているならば、高橋留美子作品を愛好する目的でサークル活動に参加している一般の構成員と摩擦を起こすことになるだろう。
サークルを設立するにあたり、サークル設立者はサークルの活動内容を定めるべきである。なるべくなら構成員を募集する前に主な活動内容は決定されていた方がいいだろう。なぜならば、全く活動内容が決っていない状態では、構成員を募集してもほとんど人は集まってこないからである。
一般に、ルーミック愛好者によるサークルの活動はルーミック愛好者の活動の発展である。ルーミック愛好者の活動には、作品鑑賞、金儲け、イベント企画、イベント参加、イベント徹夜、ライブ参加、追っ駆け、応援、同人誌制作、即売会参加、同人誌販売、グッズ収集、セル窃盗、グッズ売買、テレカ売買、グッズ貸借、投稿、文通、サークル運営、集会、パソコン通信、お茶会、旅行、文章執筆、絵画制作、フィギュア制作、演奏、コスプレ、圧力、及び評論などがある。これらのうちには、サークル活動として適当でないものもあるし、サークル活動としてでしか行われていないものもある。サークルの活動を決定するにあたっては、構成員の特性及びサークルの目的を念頭に置くべきである。例えば、バイク乗りのルーミック愛好者ばかりを集めたサークルでは、ツーリングを主たるサークル活動とすることが可能であろう。
なお、経験則によればイベント企画及び同人誌制作は他の活動と両立させることは難しい。なぜなら、これらの活動はサークルのパワーの大多数を投入しなければならなく、それらの活動以外の活動をしている余裕がなくなるからである。
サークルの目的と活動予定がおおよそ決定されたならば、サークル設立者は本当にサークルを設立するか否かについて改めて考えてみるべきである。なぜならば、新たにサークルを設立するよりも、既存のサークルに参入した方が目的を達成する上で得策である場合がしばしば見られるからである。恐らくは自分達もそうであるように、既存のサークルは積極的に活動(運営を含む)に参加してくれる人を求めていることが多いのである。例えば、声優のファンクラブなどはその活動の性質上、新たにサークルを設立するよりも既存のサークルに参加した方が得策である。
サークル設立者を募集した場合、確かに設立の見直しは確かに言い出し難い事であろう。しかし、自分達の目的を達成する上で有用な選択肢を無視するのは実に愚かなことである。
サークルを設立するにあたり、サークル設立者は非会員制か会員制かを決定すべきである。ここで、「チーム」をサークルのうちその集団がその構成員に対する所属関係を確定していないものと定義し、「クラブ」をサークルのうちその集団がその構成員に対する所属関係を確定しているものと定義する。簡単に言えば、非会員制サークルがチームであり、会員制サークルがクラブである。チームとクラブとの折衷型サークルといえども、その活動に実際に参加している構成員の資格が非会員制か会員制かでチームかクラブかに分類される。幹部集団はクラブ制とし一般参加者はチーム制としてもよい。
チームのメリットをざっとあげると、構成員でない者に対しても門戸が広く開かれていること、全ての構成員が活動に参加していること(参加しない者は構成員でないからである)、活動の自由度が高いこと、及び、構成員同士の人間関係が発生しやすい(友人関係が発生し易い)ことなどがある。一方、一般的なチームのデメリットをざっとあげると、会員制でないので会費が徴収できない(幹部の高負担となり易い)こと、連絡網が確定できないこと、長期の活動計画を確定できないこと、固有のサークルであることが分かり難いこと、分裂が起こり易いこと、及び、名称を持たない(代表者を特定しにくい)ことが多いことなどがある。
クラブのメリットをざっとあげると、会員が特定できること、長期の活動計画を確定できること、サークルの機関が比較的簡単に成立すること、連絡網が確定できること、固有名称を持っている(代表者を特定し易い)ことが多いこと、及び、サークルを通じての構成員同士の人間関係が発生し易い(仲間関係が発生し易い)ことなどがある。一方、一般的なクラブのデメリットをざっとあげると、幽霊会員が発生すること、及び、構成員同士の人間関係がサークルを通じたものに限定されやすいことなどがある。
ともあれサークル設立者は、サークルの目的及び活動内容を十分に考慮した上で、どの形態を採用するかを決定すべきである。
サークルを設立するにあたり、サークル設立者は機関を定めるべきである。サークル代表者は、サークルに於ける機関の一種である。一般に、機関の成立は確実性と持続性のあるサークル活動を可能とする。また、機関によって内部には統制機能が外部には代表機能が確保される。よって、機関が定められていないサークルは内部統制がとれなくなることが多い。小規模(十人以下)のサークルに於いては、それほど機関にこだわる必要はないが、少なくとも代表者を置くことが望ましい。中規模(五十人以下)のサークルに於いては、代表者、会計担当、人事担当、及び企画担当(例、会報編集部)が典型的な機関である(兼任を妨げない)。また、大規模(三百人以下)のサークルに於いては、いわゆるプロジェクトチーム制が導入されることがある。超大規模(三百人以上)のサークルに関しては、専門書を参考にすることが賢明である。
機関を置く為には、全ての構成員による制度的な承認と服従が必要である(チームに於いてはこの点があいまいになりやすい)。なお、既存のサークルに新たに参入する者は既存の機関に対する承認を行ったと推定すべきである。
サークルを設立するにあたり、一般にサークル設立者はサークルの名称を定めるべきである。なぜならば、構成員以外の者がそのサークルを判別するのに必要であるからである。よって、構成員以外の者との交流を持つ予定のないサークル、及び、構成員と非構成員とを区別しないサークル、は必ずしも名称を持つ必要はない。
名称は構成員を募集する前に決定されているべきである。構成員を募集した後に名称を決定する方式はかなりもめることが多い上に、構成員を募集するにあたっては既に名称が存在しているほうが望ましいからである。誤認されることを防ぐ為に、名称は既存のサークルの名称などと同一であってはならない。また、あまりにも一般的すぎる名称は小規模(十人以下)のサークルには不適当である。既存のサークルの名称を知る為には、その活動系統に詳しい人に聞くのがよいだろう(同人誌活動の場合は即売会パンフレットがよい資料となり得る)。なお、経験則によれば、名称決定はサークル設立にあたっての最大の難問となり得る。
サークルに規約は必要であろうか。サークルの規約の目的は一般に、そのサークルの行動基準を構成員に周知させること及びそのサークルの機関などを明文化することであろう。とすれば、これらを規約によらずして達成できるサークルならば必ずしも規約は必要ではない筈である。例えば、小規模サークルは行動基準を周知させるのに規約は必要ないし、代表者や幹部がサークル運営の全てを担っているサークルにも規約は必要ない。だが、大規模サークルは構成員全員に対して行動基準を周知させるのに規約を必要とするだろう。
一般に、まずサークルの設立者がサークルの構成員となる。構成員の募集方法は、アニメ専門誌やマンガ専門誌に投稿する、知人の同人誌に掲載してもらう、チラシを配る、パソコン通信に流す、大規模サークルの集会に参加する、声優に宣伝してもらう、及び、知人に声を掛ける等である。サークルの構成員募集が、同好の士の目にとまる機会が多くなればよいのであるから、他にも様々な募集方法があるだろう。参考までに、《キティアニメーションサークル》の会報で募集を行った場合、既存サークルに加入していないルーミック愛好者のは千人のうち四人が興味を示して問い合わせをよこし、その内の8割が入会するようである。既に既存のサークルに加入しているルーミック愛好者の場合は状況による。
なお、サークルの構成員数はサークル活動を不可能にするものであってはならない。
名簿作成は、サークル運営者の最初の仕事となるであろう。ルーミック愛好者のサークルに於いては、必ずしも物理的に近い地域に構成員が存在するとは限らないので、手紙や電話といった通信体制を整える必要がある。いくつかのチームは名簿を作成しないことが多いが、これは明らかにサークルにとって不利益である。なぜなら、確実に会える機会が続かない限り、そのチームはサークルとしての持続性を欠くことになるからである。
名簿を構成員に公開するか否かは重大な問題である。名簿公開の主なメリットは、サークルの幹部が不正を働いた場合や開店休業した場合に名簿が公開されていれば対応のしようがあること、一般の構成員同士の交流が深まること、及び幹部への信頼度が高まることなどである。名簿非公開のメリットは、連絡先を公開したくない人への配慮になること、サークルに関する全ての情報を幹部が管理することができること、内部分裂を防ぐこと、名簿がサークルの目的と異なる用途に使用されることを防ぐことなどがあげられる。ともあれ一般には、住所と名前だけを公開しているところが多いようである。
連絡網として手紙を主体にするか電話を主体にするかも重大な問題である。手紙(会報制を含む)のメリットは、連絡が比較的確実であること、構成員の家族に迷惑を掛けにくいこと、及び情報量が多いことである。電話のメリットは、手間が比較的かからない(特に小規模サークルの場合)こと、連絡速度が速いこと、及び、双方向で会話できる(返事がすぐ聞ける)ことである。一般には、手紙を主体とし幹部同士の連絡は電話を併用しているところが多いようである。
しばしばクラブに見られる問題として幽霊会員問題がある。即ち会員としての最低限の義務(例えば会費納入)は果しているものの、実際の活動には全く顔を出さない会員の問題である。会費をとっていないクラブに於いては、名簿に載ってはいるものの全く活動に参加していない会員も存在し得るだろう。
一般にクラブ運営者は、会員数が減ることを恐れていてか、幽霊会員の存在を容認していることが多い。しかし、会費を払っているならばともかく、全く活動に参加していない幽霊会員を容認しておくメリットは意外に少ないものである。幽霊会員を容認するメリットは、(会費制ならば)会費納入が期待できること、数字の上の会員数が多くなること、及び、可能性は低いが活動に参加してくれるかも知れないことなどである。一方、デメリットは、連絡コストがかかること、及び、クラブの士気が下がることなどである。一般に、幽霊会員を容認するか否かはクラブ運営者の政治判断による。
一般にサークルは何らかの方法でサークルの資金を得なければならない。一般的なサークルの収入の勘定科目は、サークルの新参者によってサークルに納入される収入(入会金収入)、サークルの構成員によって会期毎にサークルに納入される収入(会費収入)、サークル活動に参加した者によってその活動の必要経費としてサークルに納入される収入(経費収入)、サークルに対してなされた寄付による収入(寄付収入)、サークルが物品を販売して得た収入(売上収入)、及びその他の収入(雑収入)の一部又は全部である。イベント企画や同人誌即売会運営を行っているサークルの場合には更に多数の勘定科目が追加されるだろう(専門書を参考にするのが賢明である)。一方、サークルの支出の勘定科目は、各々のサークルによって大いに異なるので、一般的に述べることは適当でない。
サークルの運営者は、サークルの資金を得る方法を決定しなければならない。一般的にクラブの場合には入会金収入及び会費収入が主であり、チームの場合には経費収入が主であるようである。サークルの資金問題はサークルにとってかなり大きな問題であるので、どの収入をメインにするかでサークルの性格が大きく変化することにサークル設立者及びサークル運営者は留意すべきである。
サークルが何らかの収入を持っている場合、サークルの資金が行方不明になることを防ぐ為に、何らかの会計管理が必要となる。一般には、会計担当者(小規模サークルでは代表者が兼ねることが多い)を定めて、会計を管理することが多い。
収支を十分に予測できるサークル(又はサークル内部のプロジェクトチーム)は予算制を採用することができるが、一般的なサークルでは予算制はかなり難しいことである。もっとも、予算制を採用していないサークルといえども「サークルの収入はサークルの支出に使用する」という超大ざっぱな予算計画(どんぶり勘定)があるものとみなすこともできる。
予算制を採用していないサークルでは、幹部集団が確定している収入を基に支出計画を立て、会計担当者がその計画に必要な金額を支給する方式を採用しているところが多い。この方式は、長期計画には向かない上に、支給するか否かの事実上の決定権が会計担当者にあるので一般の構成員にとって実際に金銭が支給されるのか否かが判別しにくいというデメリットがある。しかし、他に適当な方法も少ないのでこの方式は多くのサークルで採用されている。なお、代表者と会計担当者とが兼任されているサークルでは、代表者個人の会計とサークル全体の会計とが混然一体となっている場合もしばしば見られる。この場合、興味深いことに、公金が着服されることよりもむしろ代表者の負担がますます増えることの方が多いようである。
会計監査とは会計を監督し検査することである。これは、決算が予算通りになっているか否かを検査することによって不正を防止する目的を持つ。
一般に会計監査は被監査団体の外部の者が行うべきであるが、サークルの場合にはなかなかそうもいかない。そこで、サークルに対して支出を行った全ての者に対して会計報告を行う方式が比較的導入しやすいと思われる。なお、この報告は寄付者に対しても行われるべきものである。なぜならば、寄付者はその寄付金がサークルの為に使途されることを前提に寄付を行ったと推定すべきであるからだ。なお、会計報告を構成員に対して行うことは、幹部への信頼を高める有用な手段でもある。
但し、一時的な独立会計(例えば、喫茶店で行われたサークルの集会に於ける食事代金)の場合は、特に会計監査をする必要はないだろう。なぜならば、自分が支出した金がどのように使われたのかは誰にも一目了然であるからである。
サークルにとって活動拠点は重要である。活動系統によっては活動拠点の設定は最重要課題であるかも知れない。パソコン通信、投稿、又は文通等だけを活動内容とするサークルなどはいざ知らず、一般的な活動を行っているサークルは活動にあたって構成員が集合できる物理的な場所が必要である。一般に活動拠点は、イベント会場や即売会会場などの「お祭り会場」と喫茶店や幹部宅などの「たまり場」とに大別することが可能である。
サークル運営者は、サークルの活動内容に応じて活動拠点を設定しなければならない。なお、たまり場の設定は構成員の定着に大いに有効であるので、サークル運営者はなるべくたまり場を設定した方が得策であろう。なお、先述の通信ネットワークもある種のたまり場であると見なすことが可能である。
たまり場を設定すると本来のサークル活動よりもたまり場にいることの方が構成員にとって面白くなることがしばしば起こり得る。これは理論的にも経験的にも証明することができる現象である。これをメリットと見るかデメリットと見るかは、この現象がそのサークルの目的に合致しているか否かによる。
サークルの宿命として必ずいつの日か消滅することになる。消滅には、解散及び自然消滅がある。解散とは、予め定められた解散事由が発生したとき、目的の成功不成功が確定したとき、破産したとき、及び、サークルが解散を決定したときなどに、サークルの決定として解散の宣言が出されることである。サークルを解散する場合には、必ず清算を行うべきである。なぜならば、清算をしっかり行う事は、せっかく知り合った仲間とサークル解散後にも友好的に付き合う上で効果的であるからである。一方、自然消滅とは、構成員数が減少していったとき、幹部が職務に怠慢であったとき、及び、何等かの理由によって活動が停滞したときなどにサークルが休業することである。金銭トラブルが発生し易い上に、構成員同士の交流も途絶え易い。
いかにして自分のサークルを消滅させるかを考えておくことは、反面的ではあるが、サークル運営に大きく役立つであろう。なぜならば、サークル運営者がサークル存続の為にと思って行う活動も、場合によっては逆効果となり得るからである。例えば、サークル活性化の為に新しい活動を導入することは、内部対立の要因となるかも知れない。
サークルは同じ活動系統のサークルと交流することができる。交流することのメリットは、新しい仲間を獲得する上で有用であること及び大規模な活動を行うことができることであろう。一方、交流することのデメリットは、サークル間の紛争の種を発生させる可能性があること及びサークルの合併吸収が起こり得ることであろう。
経験則によれば、サークル間の対立は幹部間での対立である場合が多く、一般の構成員から見れば些細なものであることが多い。しかも、それは大同小異であることが多い。サークル間の対立が発生した場合には、サークル運営者はこれらのことを思い浮かべて見るべきであろう。
参考までに、他サークルと合同して活動する場合には、どのサークルが主であるかを明確にしておくべきである。同等の立場で合同活動を行うと、何か問題が発生したときに、責任の所在が不明になり易くなるばかりか、収拾が付かなくなり易いのである。
はっきり言うが、サークルの構成員の多くは異性に縁の無いような方々である。だからこそ、サークルにそこそこ魅力的な異性が入ると、何とかして自分のものにしようとする者がいても不思議ではない。
男女問題の解決方法は、まず無いと考えていいだろう。構成員同士での問題ならば、サークル運営者はその問題がサークル全体に及ぼす悪影響を最小限にするように努力することが可能である。しかし、サークル運営者が当事者となった場合には、サークル運営者を補佐する者が運営者を諌めなければならない。
サークルに於ける金銭問題の多くは、運営者による使い込みという形であらわれる。この問題を解決するには、賠償してもらう以外に無い。ただ、ここで問題となるのは、問題が解決されるまでの間のサークルの運営である。問題を解決しようとする者は、単に賠償を請求するだけでなく、その間のサークル運営をどうするかも考えなければならない。
また、構成員が一時的に負担した金銭をサークルが支払わない場合も金銭問題となり得る。この場合には、まず当事者同士でどうするかを話し合うべきである。ここでは詳しく述べきれないが、最終的には法律で解決するしかない(なお、一般的なサークルは、法律用語にいわゆる権利能力無き社団と解釈される)。場合によっては、既にサークルをやめた者に対して請求することも有り得るだろう。
外部団体との金銭問題もしばしば見られる金銭問題である。まずは当事者同士で話し合い、誰がいくら負担するかを明確にすべきであろう。たしかに、金銭問題を口に出すのは、人間関係にひびを入れ兼ねないことであろう。しかし、はっきりさせなければ、より険悪な人間関係を発生させることすらあり得るのだ。
サークルの運営者にとって最大の頭痛の種となるのが、派閥問題である。ここで派閥とは、サークルとして活動している際にも固まって行動し他の構成員と交流することない集団と思えば分かりやすいだろう。複数の派閥がある場合には、派閥同士での抗争もしばしば見られる。両者ともサークルの目的は支持しているものの、その手段を異としていることが特徴であろう。サークル運営者は、派閥抗争が全体に拡大する前に、必要に応じて断固とした解決方法をとらなければならない。
サークルの運営者が引退するときに、誰かを後継者としなければならない。だが、多くの運営者は満足な候補者を得られずに結局は自分が運営者であり続ける。多くの場合、運営者は「十分な経験を持つ現在の自分」と「未だ経験の少ない現在の候補者」とを比較しているので、どの候補者も自分に比べて力不足に見えるからである。ここで、運営者に考えて欲しいことは、「運営者となる直前の過去の自分」と「現在の候補者」とはどちらが運営者として適格であるか、である。大抵の場合は、どちらも似たようなものであろう。
サークルに参加する者もあれば、やめていく者もいる。一般にサークルをやめる者は既にそのサークルに魅力を感じていない。これは、サークルの活動が面白くない場合の他に、その者の興味の対象がそのサークルにないものとなった場合などに起こり得ることである。やめるとまではいかなくとも、活動に参加しなくなる者もいる。受験や就職などを理由とすることが多いが、他のサークルの活動に参加することを理由とする場合もしばしば見られる。何人かの運営者は流出先のサークルに嫉妬することもあるようだ。
目的を同じとする他のサークルに流れたときは、自分のサークルよりも他のサークルの方が魅力的であるとみなしていいだろう。サークル運営者は、自分のサークルをより魅力的なものにすることによって、人を呼び戻せるかも知れない。
サークル運営論1は、ルーミック愛好者がサークルを運営するにあたり、留意すべき事項を論じたものであった。しかし、それはサークル運営に於ける様々な問題点を指摘したものの、具体的な対策についてはほとんど論じていなかった。そこで、筆者の理論に基づいたサークル運営のマニュアルとしても使用可能なサークル運営論2が制作され、平成5年1月10日に発表された。この論文は一般論なので、実際に応用できるかどうかは必ずしも保証できないものの、ある程度の指針には成り得るだろう。
実を言うと、筆者はこの類の問題で頼られることが好きなので、サークル運営に関する相談の申し込みを歓迎致します。