四谷「問題のすりかえだっ!、今、話し合うべきことは…」。
空想されたものは具現化され公開されることがある。それを「(n次)創作物」と呼ぶことにする。創作物を閲覧した者は作者が意図することを享受することができるのみならず、さらなる空想を働かせて愉しむことができる。それが具現化され公開されたものを「(n+1次)創作物」と呼ぶことにする。
この創作の連鎖は高橋留美子作品関連においてもしばしば見られる。実際に、多くのファンが独自の空想の産物を同人誌やWWWサイトなどで公開している。
また、創作のモチーフは、オフィシャルなルーミック作品だけでなく、ほかのファンが公開したものであることもある。それらの形態には、マンガ、アニメ、小説、イラスト、フィギュア、音楽、衣装、人形などがありえるだろう。そして、n+1次創作を行うのはn次創作者自身であるかもしれないし、他の閲覧者であるかもしれない。
この文書では、ファンによるn+i次創作について述べられている。これらが具現化されたものは一般にファンフィクションと呼ばれている。
ここでは、空想遊戯のメカニズムを記す。
経験的に、あるモチーフを基になされる想像(それはまだ具現化されているとは限らない)には4つのタイプがある。
それぞれを簡単に説明しよう。
再生タイプは単にn次創作物を愉しむものである。この再生イメージが新たに具現化される場合には、模写あるいは変形といった形式になることが多い。
補想タイプは、再製タイプと同様にn次創作物を愉しむものである。ただし、原作(n次創作)が表現していない部分あるいは省略している部分を補った想像がなされる。ノベライズなどメディアの変更が行われるときにしばしばこのタイプの想像がなされる。
拡想タイプは、原作(n次創作)に新たなゲストキャラ(これは空想者自身であることも多い)や新たなシチュエーションなどの設定が付加された想像である。しばしば、自己満足を目的として空想される(これは、n次創作物に対する不満からそれを補完させる意図をもって空想がなされることが多いからだ)。その空想が公開される場合には、if小説やパロディマンガや脚本などの形式となることが多い。
仮想タイプは主に、n次創作物を利用し新たな愉しみを生み出すものとして空想される。拡総タイプと同様に新たな設定が付加されることが多い。経験的には、恋愛ややおいやエロパロが圧倒的に多いようだ。いわゆる「おなぺっと」もこのタイプの空想に分類されることが多い。
数多くの空想の中で具現化されるものはごく一部にすぎない。これは、想像による愉しみが原理的に刹那的なものであることと、具現化に少なからず手間が掛かることによる。
具現化の形式は、その空想の内容に合ったものであることが多い。ルーミック作品の場合は、イラストやマンがや小説やコスプレなどだけでなく、お茶会やチャットなどにおける寸劇的発言であることもあるだろう。
具現化された想像は公開されることがある。部屋の中で1人でコスプレして愉しむ場合は自分自身に公開しているとみなすことにする。
歴史的には、拡想タイプではオリジナルストーリーが、仮想タイプでは異作品混合ストーリーや男性向けエロパロが、同人誌の形で公開されることが多かった。ここ近年では、女性比率の増加とWWW普及により、恋愛小説がWWW上で公開されることが増えつつある。この傾向はアニメ『犬夜叉』放映開始により更に顕著なものとなるだろう。また、オフ会やチャットなどの場では寸劇的な会話がしばしば行われている。
公開することの理由としては、自己満足、感動又は意見の伝達、活動参加、及び、営利目的などが考えられる。
想像は連鎖的に(しかもリアルタイムに)行われることがある。これは、お人形さんごっこ、コスパ、キャラチャット、TRPG、イメクラなどで見られる現象だ。いずれも想像&公開が相互になされているのが特徴である。
これらの相互空想がまとめられた場合に、それ自体がひとつの協同創作物として扱われることがある。演劇やリレー小説やキャラチャットログなどがこれにあてはまる。
再生の手間を省く。
与えられた作品(原作やアニメなど)に不満を感じる者。
参加の義務。
自らの着想を、既存の設定を借用して表現。
リモコンまで手を伸ばすのが面倒だから。
「あたるとしのぶとが結ばれて欲しい」とが「乱馬とあかねのラヴラヴをもっと見たい」とか。
応募作品やコンテスト。
同人作品への参加義務。
オリジナルストーリー。
パロディ同人誌のうち営利目的のもの。
空想者自身がその空想の中に登場するか否かは非常に興味深い問題である。また、空想者自身が登場しなくとも、既存キャラに自分自身を重ね合わせている場合も同様に興味深い。
また、空想の中でもエロティックな空想の比率は非常に高いようだ。そのメカニズムについても考える。
再生タイプと補想タイプにおいては、空想者自身が空想中に登場することは無いが、しばしば既存のキャラに自分自身を重ね合わせることがある。
拡想タイプと仮想タイプにおいては、既存のキャラに自分自身を重ね合わせることがあるだけでなく、しばしば空想者自身が空想の中に登場することがある(そういう想像が具現化されたり公開されたりすることは滅多に無いが…)。
重ね合わせの例を一つ挙げてみよう。例えば、響良牙ファンの少女は自分自身を雲竜あかりに投影(ある種の感情移入でもある)して空想デートを愉しむことがある。投影の理由は、登場人物たちへの畏敬の念ゆえかも知れないし、「良牙くんはあかりちゃんと付合ってるの」という設定を遵守する精神(補想タイプ又は拡想タイプ)によるものかも知れないし、「二人は行くとこまで行った関係なの」という自作の設定を遵守する精神(仮想タイプ)によるものかもしれない。
ちなみに、おなぺっと使用に対して罪悪感を抱くファンは、自分自身を登場させずに登場人物に自分に投影する傾向があるようだ(どうだろう?)。たとえば、響子さんをおかずにするときは五代君を登場させるのだ。
空想遊戯の中でもエロチックパロディの比率は非常に高いと思われる。ルーミック作品のほぼ全てが非エロティック作品であるから、それらの登場人物を用いたエロティックな想像は、基本的に拡想タイプ又は仮想タイプに分類される。
最近ではほとんど使われなくなったが、男性向けエロパロを「面妖」と呼ぶことがある(用例「面妖系同人誌」)。これが実は『うる星』のサクラさんの台詞「はて、面妖な」から派生した語句であることはあまり知られていないようだ。また、女性向けエロパロ(主に男性同士のホモ)は「やおい」と呼ばれることが多い。ちなみに「やおい」の語源は「やめて!お尻が痛いわ!」ではなく「ヤマなし、意味なし、落ちなし」である。
カップリングについても少し触れておこう。これは必ずしもエロパロに限らないことだが(例えば恋愛モノなども)、要するに「誰と誰との関係をテーマにするかを空想者が決めること」である。ちなみに、対等な関係は「乱馬+あかね」のように「+」で表現し、攻め受け関係は「乱馬×良牙」のように「×」で表現する慣習がある。
それでじゃ、エロティックパロディがなぜ多いのか?を考えよう。
「おかず」は、一人、二人、複数?
無料のエロパロは何が目的か?
複数のコスプレーヤーによる。演劇とごっこ遊びとの最大の差異は、ストーリーの有無である。ごっこ遊か演劇
イメクラも演劇の一種である。客がキャラクターを演ずるか、客自身として参加するかは場合による。
うに。
かつてバンダイだかホビージャパンだかが『うる星TRPG』の企画を進めていた。企画自体はお蔵入りしてしまったが、もし出版されていれば非常に興味深いファン活動となったであろう。
ところで『犬夜叉』は『うる星』よりもTRPG化しやすい作品であると思う。もし『犬夜叉TRPG』があれば大いに需要があるだろう。もっとも、「役割を果たしながら目標を達成するゲーム」というよりも「感情移入による快感を得るためのツール」としてプレイされることになるだろうが…(笑)。
チャットRPGとキャラチャットとの最大の差異はゲームマスターの有無である。現在ではまだ見かけないが、シチュエーションやルール(行為に対する裁定基準)を持ったマスター役のチャット参加者がいれば新たなファン活動として成立するだろう。
うに。